ジャパリパーク管理センター休憩室

けものフレンズ二次創作サークル「ジャパリパーク管理センター」のブログです。

ちょい見せ版「つないだきずなの/かさなるおもいの そのさきに」

 

…瞼が重たい。

それでも、閉じてしまったら。

もう二度と、開けられないような気がした。

…お腹が空いた。

食べられそうなものは、もう周りには残っていなかった。

そんな状態が、どのぐらい続いたんだろう。

自分の身体が、衰弱していくのがはっきりと分かる。

今では、少しも動けないくらいに。

…ヒトの皆は、何処に行ってしまったんだろう。

どうして、誰も来てくれなくなったんだろう。

わたし達の事が、嫌いになっちゃったのかな。

…もう、周りから誰の鳴き声も聴こえなくなった。

皆もわたしと同じ様に、声を上げる力さえ無くなっちゃったのかな。

それとも…。

…。

…このまま。

…このまま、死んじゃうのかな。

…わたし、ヒトの皆に何かしちゃったかな。

…もしそうなら、ちゃんと謝りたいな。

…だから。

…だから、帰ってきて欲しいな…。

…。

「…なんて酷い…どの子も餓死しているんじゃないか…?」

「経営難でスタッフが逃げた、と言う話は本当でしたね…どうしますか?」

「…皆で手分けして、ここの全ての動物達の様子を確認しましょう。まだ生きてる子が、いるかも知れません」

…声だ。

ヒトの声だ。

…ここだよ。

わたしはここだよ。

…だめだ、声が出ない。

脚も、ちっとも言う事を聞いてくれない。

「…代表!こちらに!」

前を通りかかったヒトが、声を上げる。

その声でもう一人、こちらにやって来るヒト。

「…このサーバルキャット、まだ息があります…」

「すぐに担架を用意して下さい」

後から来たヒトがそう言うと、わたしを見付けたヒトは慌ただしく走っていった。

…その手が、わたしに何かを差し出した。

「食べられる…?」

口元までそれを運んでくれたので、わたしはなんとかそれを食べる事が出来た。

…何かはよく分からなかったけれど、久しぶりの食事はとても美味しかった。

「…良かった…キミだけでも生きててくれて、本当に良かった…」

身体を撫でるその手は、とても優しくて。

このヒトは、わたしを助けに来てくれたんだと分かった。

「…担架を持ってきました!」

慌ただしく戻ってきたヒト達と、食べ物をくれたヒトによって、わたしの身体が運ばれていく。

「…キミは、僕が必ず助けるから」

…その優しさを、その温もりを。

わたしは、忘れないようにしようと思った。