2ページ目も先行公開!「つないだきずなの/かさなるおもいの そのさきに」
それを聞いて一番最初に驚いたのは、意外なヒトだった。
「えぇ!?じゃあ、もしかして…サーバルさんって、お母さんが助けてきたあのサーバルキャットなんですか!?」
「「お母さん!?」」
わたしとカラカルが、同じ様に驚いて同じ様に声を上げた。
「…ジャパリパークの創始者さんって、ミライさんのお母さんだったんですね…」
園長も、驚いたように呟いた。
「…言ったような覚えがあったんですけど、ずっと言ってませんでしたね…今更な話になっちゃってすみません」
ミライさんが、申し訳なさそうな顔でそう答えた。
「へぇ…サーバルにそんな昔話がねぇ…ってか、あんたもあんたで何で忘れてたのよ、そんな大切な想い出を」
「うぅっ…なんでかなあ?わたしだって忘れなくなかったけど…」
カラカルの言う事はもっともだけど、わたしにもよく分からない。
最近まで、ずっと思い出せずにいたから。
「アニマルガール化した時に、以前の記憶をはっきりと引き継げない事は少なくない、とカコさんが以前話してくれてましたね…その影響かも?」
園長が、真剣な面持ちでそう言う。
確かに、この身体になってから、そうなる前までの記憶があやふやになってる気がする。
…ミライさんがわたしの事を知ってるという事は、もしかしたら動物だった頃からミライさんとも会ってたのかも。
うぅっ…思い出せないのって、改めて悲しいなぁ。
それでも、この事を思い出せて本当に良かった。
…昔、園長が一匹のキツネを助けたって話を聞いたときに、心の中から溢れ出した気持ち。
わたしもあのヒトに、そのキツネと同じ様に助けられたからだったんだ。
「…そういえば、カコさんはどうしてるんです?」
「…パークの外に居るご友人と、連絡を取っているみたいです…園長さんは…」
園長の問いにミライさんがそこまで返すと、園長は顔を曇らせた。
…園長は、家族と連絡がつかなかったと言っていた。
園長が元々住んでたのは、パークのある島のすぐ近くだと聞いた憶えがある。
「…大丈夫だよ、園長!」
その手を取る。
「サーバルちゃん…?」
「きっと、園長のお父さんとお母さんは何処か安全な所に避難出来てるよ!だから、わたし達もちゃんと怪我しないで帰ってこなくっちゃ!」
わたしがそう言うと、みんなが一呼吸置いて笑い出した。
「えぇっ!?わたし、そんな面白い事言ったかなあ…?」
「いやぁ…やっぱりサーバルは何処まで行ってもサーバルね。安心したわ」
「本当ですね…サーバルさんの前向きな所は、こういう時に頼りになります」
…カラカルとミライさんの言葉が、あまり褒めてる様には聞こえないのはいつもの事かな。
「ふふっ…ありがとう、サーバルちゃん」
園長の優しい笑顔。
わたしも、カラカルも、ミライさんも。
多分、パークのアニマルガール達のみんなも。
一番の信頼と、安心を感じられるのは、間違いなくこの顔なんだ。
…コンコン、と戸を叩く音。
入ってくるなりそう訊いたのは、セーバルだった。
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